皆さん、こんにちは。このシリーズのブログでは、吉文字屋アドバイザリーの井辻がプロジェクトマネジメントコンサルティングを実施してきた中で、自ら経験・直面してきた出来事や経験、対処してきたやり方などをご紹介しようと思っております。特にこのテーマ”組織とプロジェクトに潜む社員の心理を知ろう”シリーズでは、文字通り、プロジェクト組織における利害や立場、責任範囲のちがいによって生じるリスクをどのように想定し、経営や、プロジェクトリーダーがこれらリスクにどう対応していくべきかを考えて行きたいと思っております。
さて、第1回目は、なぜ私がこのテーマが大事かと思った背景・きっかけをお話し、それをそのようなアプローチで考えて行けばひとつの考え方や方法論としてまとめられそうかという整理をしてみたいと思います。
そもそものきっかけは、、、こんなことがありました。
とある会社での経営会議。。。。。。
販売管理システム本番稼働の承認議案。 ユーザーテスト責任者 業務でシステムが使えることは、全てユーザー了解とれてます!問題ありません! かくして 本番稼働承認! ところが、、、、、後日、 業務監査で、役員が利用者(ユーザー)に聞くと ユーザー(元テスト参加者) こんなシステム、まったく使いものになりません!業務は回せません。 業務監査担当役員 だって君がユーザーとしてテスト、承認したんでしょ??? ユーザー(元テスト参加者) いーえー、デモンストレーションを見ただけで、業務テストなんかしてませんが。。。 業務監査担当役員 えええええー!? |
プロジェクトとしては、 ユーザー確認のテストがなされ、その結果報告をもとに、完成承認されており、社内展開されました。
ところが、実際には、 ユーザーは「承認していない」といいます。なぜ、このようなふしぎなギャップが発生するのでしょうか?
事実、ユーザーテストは、ユーザーの承認印まで押された、テスト完了報告書が成果物としてきちんと事務局に提出されていました。とこが、どうやら業務テスト責任者は、テスト実施の際に、参加ユーザーに対して、「こういう流れのシステムだから、一通りデモンストレーションをするので基本的に使えそうかどうか評価してください」といったような話しかせず、業務に耐えうるシビアさでの確認などしていなかったのです。それでユーザー承認とったという書類をつくってしまっていたのでした。
このような例を何度か見たり、聞いたりしてきた私は、「人間心理」の点から、プロジェクト目標の妨害作用や歪曲作用にフォーカスする考え方が必要なのではないかと思いはじめました。
実はこの手の研究は“イノベーションの成功確率を向上する目的で”主に経営行動科学分野で研究されています。
重なるところもありますが、わたしの場合は、通常組織から離れて参加するプロジェクト組織の中で、メンバーの心理にネガティブに作用する要因を分析して、課題解決等が闇に葬られたり、歪曲しないようにするためのさまざまな手段を事例から検討してみたいと思います。
引用する事例では主にシステムを開発し、業務を革新、現場へ定着させるイノベーションプロジェクトを題材にしています。
それでは、第1回はこれくらいにして。。次回は、この分野で先行研究されていることを整理してみようと思います。